地声を高くする方法とは? 科学的な根拠にもとづいた発声の仕組みとトレーニング方法を解説!

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高い声を出したいけど、どれだけ練習しても出ない…
あの曲をいつか歌えるようになるのだろうか…
もう、裏声に逃げるしかないのか…

と諦めかけている方も多いはずです。

でも、大丈夫です。

実は、みなさんが思っているほど「高い地声」というものは特別なものではありません。科学的に正しい知識と練習法さえ知れば、必ず習得できるものなのです。

この記事では、地声を高くする方法を

  • 地声で高音が出ない原因とは?
  • 声帯と筋肉のメカニズムについて
  • 科学的根拠に基づいたトレーニング法

の三部構成で科学的に解説していきます。

最後まで読んでトレーニングすることで、「今まで出なかった高い地声が出た!」となるはずです。

それでは、はじめていきましょう!

01|地声が高くならない原因とは?

高い地声が出ない原因、それはズバリ「筋力不足」です。

結論:高い地声が出ない原因は「筋力不足」

『筋力不足で声が高く出せないなんて、本当なの?』と疑問に思うかもしれませんが、

これは、地声で高音を出すときの、科学的なメカニズムを知ることで理解できます。

02|声帯と筋肉のメカニズム

さて、まずは声帯がどうやって音を出すかについて理解しておきましょう。

地声が出る仕組みとは?

地声というのは、簡単に言うと

「2本の閉じた声帯に空気を通して振動させることで音が出る」という仕組みです。

地声が高く出る仕組みとは?

地声を高く出す方法は、

 ー 声帯の「振動する部分を短くする」ー

このたった1つだけ!

声帯の「振動する部分を短くする」とはどういうことか?

→ ギターの弦の張り具合を変えなくても、指で抑える場所を変えるだけで高い音が鳴るように、声帯自体の振動する部分を短くすることでも、高い声が出るということ。


声というのは、物理法則の上に成り立っているので、

高音の出し方も理論上は「めちゃめちゃシンプル」なのです。

※ちなみに、輪ゴムをピンと張って高い音を出すように、声帯を引き伸ばす方法もありますが、それは裏声やミックスボイスの方法なので別にします。

●地声が高く出る仕組みとは?
 声帯の「 振動する部分を短くする 」

そして、この 声帯の「振動する部分を短くする」

という働きをするものこそが「甲状披裂筋」という筋肉なのです。

つまり、筋肉が声帯を動かし、高音を出しているということです。

地声を高く出すために
声帯の「振動する部分を短くする」

 この働きをするのが『筋肉』。

そのため、筋肉が弱いと、声帯の振動部分を短くできない(✖)ので、

地声を高くすることができなくなっちゃうというわけです。

つまり、高い地声が出ない原因は「筋力不足」

鍛えるべき筋肉①:甲状披裂筋

この矢印(→)が指すものこそが甲状披裂筋です。

この筋肉が声帯の振動部分を短くします。

では、どのようなメカニズムで声帯の振動部分を短くしているのでしょうか?

声帯の振動部分が短くなる仕組み

実は、上の図のように

「声帯の両端の筋肉を硬くして」真ん中以外の声帯を振動しないようにしているのです。

硬くするとモノは振動しにくくなるので

地声では、その性質を利用して声を高くするわけです。

以上、地声が高く出るメカニズムでした!

詳しくはこの論文で!→発声調節における甲状披裂筋の役割

●どうやって声帯の「振動する部分を短くする」?

甲状披裂筋の両端を硬くすることで、
声帯の中央以外を振動させないようにする
振動部分が短くなる

ここまでで、地声が高くならない原因が「筋力不足」であることは理解できたでしょうか?

しかし、もう1つ鍛えなくてはいけない筋肉があります。

問題点:声帯閉鎖の重要性

それは、声帯を閉鎖する筋肉です。

甲状披裂筋が激しい動きをするため、閉鎖する筋肉が付いてこれなくなり
声が裏返ったり、音にならない部分が出てきたりしてしまうのです。

皆さんが目指しているのは、「髭男を歌う」とかだと思うので、これは致命的です。

そのため、声帯を閉鎖する筋肉も紹介しておきましょう!

それが「外側輪状披裂筋」と「披裂間筋」です。

声帯閉鎖が弱いと、声が裏返ったり、音にならなかったりする。

声帯を閉鎖する筋肉を鍛えなくてはいけない

鍛えるべき筋肉②:外側輪状披裂筋

外側輪状披裂筋とは、この矢印(→)が指している場所にあり、声帯を閉鎖させる筋肉です。

それでは、どのように声帯を閉鎖するのでしょうか?

声帯の閉鎖方法

それでは、①から③まで順を追って説明します。

①まず、筋肉が矢印(→)の方向に縮みます。

②そうすると、白い軟骨が点(・)を中心に回転運動をすることになります。

③その結果、声帯を近づけます。

このようなメカニズムで、声帯を閉鎖しているのです。

人間の体ってすごいですよね!

そして、声帯を閉鎖するもう一つの筋肉が「披裂間筋」です。

鍛えるべき筋肉③:披裂間筋

披裂間筋とは、この矢印(→)が指している場所にあり、外側輪状披裂筋と同じく声帯を閉鎖させる筋肉です。

それでは、こちらもどのように声帯を閉鎖するのでしょうか?

声帯の閉鎖方法

それでは、①から③まで順を追って説明します。

①まず、筋肉が矢印(→)の方向に縮みます。

②そうすると、声帯がお互いに近づきます。

このように、「外側輪状披裂筋」と「披裂間筋」の働きによって声帯が閉鎖して

地声が安定した音で出るようになるのです。

それでは、これらの筋肉のトレーニング方法を紹介しましょう!

03|地声で高い声を出す科学的トレーニング法

まず、何をトレーニングするべきなのか整理しておきましょう。

やるべきことは、

 ①地声を高くする甲状披裂筋のトレーニング
 ②高い地声を安定させる外側輪状披裂筋と披裂間筋のトレーニング

この2つですね!

ですので、これらを強化するトレーニング方法を紹介します。
スクショして見返して練習してみてください!

トレーニング①:グライド発声

グライド発声とは、高音と低音を滑らかに行き来する練習です。

「ガー」で発声してください。

そうすることで、声帯を自然に閉鎖し、甲状披裂筋をピンポイントに鍛えることができます。

●グライド発声の手順

  1.  最低音を「ガ」で発声する
  2.  地声の最低音から最高音までゆっくり滑らかに上げる
  3.  地声の最高音まで上がったら、ゆっくり最低音まで下げる
  4.  これを繰り返す

    ※このとき、胸に共鳴していることを確かめる。鼻にかかる響き方は✕。

トレーニング②:ボーカルフライ

ボーカルフライとは、エッジボイスを「あ゛ーーーーーー」と伸ばすトレーニングです。

声帯を閉鎖する筋肉を持続的に使うので、外側輪状披裂筋、披裂間筋を鍛えることができます。

ボーカルフライの手順

  1.  エッジボイスを出す
  2.  そのまま音を伸ばす

これが出来ればOK!

音が大きくないので、どこでも練習できます。

ミックスボイスの練習にもなるのでやってみてください。

04|まとめ

今回は、現在出せない高い地声を出すためのトレーニング方法を紹介しました。

まずは、紹介した2つのトレーニングをしてみて、高い地声を出せるようになりましょう!

05|実は…(読み終わってから見て)

実はですね。

このトレーニングで「出なかったあの歌が出せるようになった!」となる人は

この記事を読んだ半分くらいしかいないと思います。

「え?今、地声が高くなるって言ったばっかじゃん!」
「嘘なの?どういうこと?」

と思いますよね。

まぁ、ちゃんと説明すると

ほとんどの人が高い地声だと思っているものは
自覚のない「ミックスボイス」だからです。

例えば、先ほど紹介したトレーニング①「グライド発声」をしてみてください。

地声の最高音だと思っている音になる前に

・胸に響きがなくなり
・鼻にかかったような響き

になりませんか?


地声は胸に必ず響きますので、

そうなった場合 地声ではないことは明確です。

さらに、鼻にかかった地声のような声は、

ほぼミックスボイスであることの証拠です。

「でも、ミックスボイスの出し方をYouTubeで何個も見たけどできなかった。」

という方もいるかと思います。

その方は、ただ単に、その音域のミックスボイスが出せるだけの筋肉がないだけです。

つまり!

このときに限ってするべきことは、

ミックスボイスの音域を伸ばすことです。

しかし、胸に響きが残ったまま最高音まで出せた方は、地声を高くする意味があるので今回紹介したトレーニングで、高音の地声を目指しましょう!

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